1.はじめに
3年ほど前、真空計の出力信号(0.0 ~ 10.0 mV)を増幅するアンプ(0.0 ~ 10.0 V)を開発しました。
目的は、制御用コンピュータ(PLC)のアナログユニットに信号を入力するためです。
増幅率は1000倍(60dB)です。
現在、開発した増幅器は当社の通販サイトで販売しています。
昨年の3月、関西にある国立大学から以下のような問合せを頂きました。
問合せ内容
1.0 mVを1.0Vにして増幅したい。
現在、販売しているアンプのフルスケールは10.0Vだが、1.0Vや2.0Vにして増幅した信号の解像度を上げたい。
昨年、アンプの駆動電圧をDC ±12.0 VからDC ±2.5 Vに下げ、フルスケールを2.0 Vレンジの開発を行いました。
作成したものは、下のCAD画像の基板になります。
選択していたオペアンプの稼働下限電圧が2.0 Vだったので、使用している素子の仕様から選択しました。
変更する部分が少なかったので、改造に踏み切りました。
2.開発時に発生した問題
信号増幅器はできたのですが、評価が出来ません。
1.0 mVの評価信号を発信する基板がありませんでした。
作製してみたのですが、抵抗器の組合せで回路が長くなったため、コンデンサのような挙動が無視できなくなり、抵抗器の数を調整することになりました。
その時点で再現性が得られない評価信号となってしまったため、再検討をしていたところ業務過多となり、1年ほど開発を止めていました。
3.評価信号(1.0 mV)発信器の再開発
2024年3月に入り、たまたま時間があったので、再び評価信号(1.0 mV)の発信器の開発をやり直したところ成功し、評価信号(1.0 mV)が得られるようになりました。
測定結果を以下に示しますが、理論値と概ね一致しており、同一時刻におけるバラつきは出力の最大値1.18 mV に対し0.8%以下であることも確認しています。
4.信号増幅器の性能評価結果
評価信号(1.0 mV)が得られるようになりましたので、信号増幅器の評価もできるようになりました。
以下に結果を示します。
レンジは2.0Vなので、入力信号の最大値は2.0 mVになります。
入力信号が1.18 mVですが、信号増幅器(増幅率/60dB)を通した出力信号は1.18 Vとなっています。
これで、微弱な電圧信号輪増幅してPLCのアナログユニットに入力できます。
5.今後の販売予定
現在、試験成績表を作成しています。
4月の第2週には販売できると思います。
これで、当社としては、10Vレンジ(入力信号 最大 10 mV)と2Vレンジ(入力信号 最大 2.0 mV)の増幅器を取り扱えるようになりました。
大学や企業などの研究活動で必要があれば、お問い合わせください。
6.評価信号発信器について
現在、評価信号発信器は、基板上に作り込んでいます。
これはArduinoで発信する5Vの電圧から基板上で分圧し、その電圧を信号にして出力しています。
基板を付け替えるとき、配線接続の段取りに時間がかかり、面倒な部分です。
ArduinoのHATにして、一体化したら簡単になるのではないかと思い、開発を行うことにしました。
こちらも完成したら、通販サイトの方に上げたいと思います。