デジタル(Dx)エンジニアリング(三次元CADデータの活用)

商品開発から生産準備までのデータチェーン(データフロー)

ここに示す図は、デジタルデータによる製品開発から生産準備までのデータチェーンです。

2005年ぐらいから取組みはじめ、2007年には、少しですが廻していました。
自動車部品メーカ―のサラリーマン時代のことで、15年も前のことになります。

現在では、各部分の要素技術が深化しておりますが、製品開発から生産準備までのプロセスがつながっていないように感じます。

また、ここには記載していないのですが、設備の情報を社内LANで収集するようなこともやり始めていました。
いわゆるIoTですね。

当時、そんな言葉はありませんでした。

また、データチェーンが廻り始めたころ、デジタルデータの精度と実際に製造できる製品の精度のギャップに注目していました。
そのため、品質管理という名目で製品製作時のデータ収集と品質解析の技術開拓が必要との拝啓から取り組んでいました。

現在は、一時的なブームのように見受けられますが、ここまでのデジタル化(DX)が進んでいると、仮想空間の精度と現実空間の精度を合わせることが重要だと理解できると思います。

当時、予測していた未来と現在

当時、10~20年後は、こんなデータチェーン(データフロー)や製造方法に変わり、生産性も向上するものと思っていました。
一人のエンジニアに求められる能力は設計のみならず、品質管理や生産技術、製造技術にまでおよぶものと予測していました。

そう考えた理由に、ある大手自動車メーカーが部署毎の居室から大部屋制に切り替え、プロジェクトごとに事務机の島を作り、各部門の人員を集めて仕事をすることを始めたからです。
利用しているCADシステムは、欧米の企業文化を反映して生み出されたCADシステムなので、社内文化を欧米文化に合わせないと使えないのです。

当初は、日本の企業文化や開発文化を背景にした要求を出していましたが、開発元が欧州企業であったり北米企業であったりするので、理解はするけど日本のためだけのシステムは開発できなかったのです。
そんな背景に気が付いた頃に、この大手自動車メーカーの決断には驚きました。

その会社は、成功を収めています。

一方で、現在から過去を振り返って見ると、技術は深化しましたが、企業文化をシステムに合わせる動きはない。
その一方で国内文化から生まれたCADシステムもない。

会社の文化が変わらず、生み出すこともない状況で、今もデジタル化の推進を叫んでいる。
端的に言えば、現在は、そんな状況に陥っているように見えてしまいます。

15年も経てば、ここで示されるような開発・生産準備が当たり前のような時代になると思っていましたが、なりませんでしたね。

結果的に

当社は、創業時より、社内文化を利用するシステムが生み出された文化に摺り寄せないと効率が上がらない。
その視点で、デジタル化を進めており、社長一人の企業ですが、経営管理、財務管理、労務管理、開発製造、品質管理を廻しています。

DX推進企業の一つに入ると思いますが、推進すればするほど、個人に求められる能力は幅広くなり、現在の成果重視、能力重視の人事考課で育成された人材では対応が難しいのかなと感じています。

能力や成果重視に変わる前、年功序列型の人事制度になっていました。
その中では、組織内のさまざまな部署に配属され、総合的な判断ができる組織内リーダーを育成できました。

成果主義に移行してからは、部署で出してきた成果の大きさと在籍年数が評価されるため人事異動が少なくなり、総合的、全体最適に近い判断がバランス良くできる人材が減ってきました。

これまでの取組みなどから考えると、DX推進と成功のカギは、網羅的に全社を俯瞰できるような若手人材を早期のうちに育成することのように思います。
以上、当社のデジタル化と同時に、日々、感じている個人的な意見になります。

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