キャリアワークショップ ミラとびランド2021

1. はじめに

2021年11月19日(金)に3,4年生を対象にしたキャリアワークショップに講師として参加しました。
このワークショップを主催するNPO法人に知人から紹介していただき、担当者の方と面談したうえで参加が決まりました。

紹介していただいた知人から、こんなアドバイスをいただきました。
技術開発・製造関係のキャリアワークショップの場合、参加する児童が理解していない範囲(高校や大学で学ぶ範囲)の話を始めてしまいます。
しかし、説明を受ける児童にとって理解不能なことばかりなので消化不良となってしまうそうです。
そのため、参加したワークショップをきっかけに、技術開発や製造業に興味を失ってしまう可能性が高いのだとか。

更にNPOの担当者からは、小学校1, 2年生も参加する可能性を示唆されて、内心ドキドキしてました。
抽象的であったり、概念的な言葉は使えません。

最終的に3,4年生のワークショップに落ち着きました。
そして、そのような配慮の下、未来の宇宙開拓の話を中心に、現在、そしてこれから目指している技術分野について話をいたしました。

1コマ30分です。
そして1コマ8名の児童が参加します。
3, 4年生各16名。4コマ行います。

今回、その時の資料を掲載します。

2. 自己紹介

児童の皆さんへの自己紹介です。
そして自分の日頃の職業を紹介します。

ここでの掴みは、自身の苗字の珍しさでしょうか。
国内では120名ほどしかおりませんし、自分自身、同姓の非血縁者と会ったことがありません。

事例紹介では、AIロボットの組立・動作テストの内容で、ロボットには興味を持っていただきました。
最近はYouTubeで知識に触れるようで、興味を持ったキーワードを深堀するようです。
ロボットについて知っていることを、たくさんお話してくれる児童さんもおられました。

 

3. 宇宙開拓を例に未来のエネルギーを考えてみよう

ここから宇宙開拓の話をしながら、これからのエネルギーについて児童の皆さんに考えてもらいました。

参加された児童の多くは、宇宙飛行士はイヤ。
月には行きたくない。と、ネガティブな声が多かったです。

この中で2030年のとき、参加した児童のみなさんは18~20歳。
2040年のとき、28~30歳になります。
10年、20年も先のことはどうなるか判りません。

自分が歩く先に何を見つけるかは判りません。
あまり自分のこれからの可能性を否定し、閉ざしてしまわないように促しました。

さて地球外(月や火星など)を開拓するとき、その時のエネルギーは太陽光と水素が中心になります。
ここで太陽光パネルを使ったLEDの点灯実験を行い、参加者全員に実験を体験してもらいました。
また燃料電池のセルと5L(リットル)の水素ボンベを手に持ってもらい、未来を体感してもらいました。

ここで、セルの起電力や特徴。燃料電池車に搭載されているセルの数。
1回の給水素で補給される水素の容積など話ました。

児童のみなさんは、YouTubeなどを通じて知ってはいるようでした。
しかし現物を観たり触ったりする機会がないので、サンプルを持つと興奮して、いろいろなお話をされていました。

本当は燃料電池を使って水を酸素と水素に分解する実験も予定していました。
1コマ30分ではサンプルとして手に持ってもらうことが精一杯です。

それだけでも、これだけ喜んでいただけたので、良かったと思っています。

ところで、大人の皆さんは、どうなっていると思いますか?

 

4. 未来のエネルギーに関する世界や日本の動向

30分のワークショップも、ここまでくると残り10分を切ります。

最後に世界で進められている取組み状況と、日本の取組みを紹介しました。

最初はソーラーインパルスⅡの太陽エネルギーのみによる世界一周飛行への挑戦です。
機器の故障で日本に緊急着陸し、愛知県営名古屋空港に1カ月滞在しました。
その後、ハワイで充電器の故障が発覚し、気候が安定する春まで滞在し2年かけて世界一周を成功させました。

また、宇宙開拓に必要な基礎技術開発として、電気飛行機、燃料電池による船舶、ドローンや3Dプリンターによる家屋建築の事例を紹介しました。
この中で、燃料電池ドローン・プロジェクトに参画されている(株)アツミテック様と仕事をさせていただいております。

そのほか、太陽光発電で生じる余剰電力を使い水素ガスを発生させ、エネルギー源として水素ガスを貯蔵する取組みについて説明しました。
これはP2G(Power to Gas / パワー・トゥ・ガス)と言われ、発電量の変動の大きい自然エネルギーを水素ガスに変換し貯蔵します。
再生可能エネルギーは変動が大きいため、不足する場合、貯蔵した水素ガスを燃料電池の発電燃料として供給し電気を供給します。

 

5. まとめ

キャリアワークショップなので、以下のスライドを内容のまとめとして提示し説明しました。
科学者、技術者、技能者と職業的な違いがあることを説明してきました。

どこに向かっても構いません。
自分たちの未来を技術開発を通じて開拓してくださることを願って終わりました。

 

6. おわりに

11月19日に開催されたキャリアワークショップの内容をブログでご紹介しました。

山梨県の取組み(P2G)については、対象を大人に変えて豊田高専の『デジタル×ものづくりカレッジ』の中でも話をすることになりした。
さすがに大人相手に児童向けのスライドを見せて話はできません。
『なぜ水素なのか ?』という点と、『現在の課題は水素貯蔵』にあること、そして電動車(Battery-EV)と燃料電池車(FCEV)、水素エンジン車などの話をします。

ご興味があれば、お問合せよりご連絡下さい。

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