1985~1990年頃の話
この頃、コンピュータに関するテクノロジーが急速に発展した時期でした。
世界中の大学がPC-VANでネットワークが誕生し、メールツールが誕生しました。
製造業ではソフトウエアの導入が進み、アルファベット3文字で表記されるツールや概念が生まれた時期でもあります。
例えば、CIM(Computer Integrated Manufacturing)やFMS(Flexible Manufacturing System)。
あるいは、CAD(Computer Aided Design), CAM(Coumputer Aided Machining)などです。
製造業のデジタル化が始まった頃になります。
初期のFMSはUNIXで生産管理をしていました
今となっては関係者も少なくなってきたので、公開しても良い話だと思います。
初期に開発していたFMSの生産管理システムはUNIX-OS上で可動していました。
当時、FMSは複数の工作機械の稼働状況を管理し生産スケジュールをソフトウエアで自動作成していました。
各工作機械はPLCと呼ばれる制御コンピュータとNC装置の組合せにより、部品加工をしています。
個々に稼働している工作機械をひとつのシステムとして管理しようとすると、パソコンでは能力不足で出来ませんでした。
そこで、EWS(Engineering Work Station)と呼ばれる情報処理能力の高いコンピュータを使うことになりました。
当時、EWSのOSはUNIXしかありませんでした。
また、当時のOSで複数の情報処理を同時に行うマルチタスク機能を持っていて実績があることもUNIXの選択理由でした。
振り返ってみれば、今ではオープンソースの代表例とされるLinuxの開発が始まった頃です。
まだ、Windows 95は出ていません。Windows 3.1の頃です。一般に使われていたパソコンのOSはMS-DOSです。
1990年の工作機械見本市にある工作機械メーカーが参考出展しましたが、UNIXで動いていた工作機械システムになります。
しかし、バブルが弾け、システムも複雑で高度なものとなり、納品先で対応できる人が育てられない。
しばらくするとFTL(Flexible Transfer Line)と呼ばれるシステムの方にシフトしていきました。
FTLは複数の工作機械を生産ライン上に設置し、資材をライン投入します。
それぞれの加工工程をライン上の工作機械が加工を行い、完成品が出てくるシステムです。
こうして、UNIXシステムで動く工作機械システムは消滅しました。
Raspberry Pi / PLC について
1990年から30年の時を経て、2021年の話になります。
IoT(Internet of Things)という言葉がなかった、2000年の頃から生産時点情報(POP / Point Of Production)に注目されるようになりました。
この頃から、生産時の品質情報を設備に設置したハードディスク(HDD)やネット経由でサーバーに保存するシステムが販売されるようになりました。
IoTという言葉が使われるようになり、生産時点情報の収集からネットワーク通信による設備連携。
あるいは、AIなどによる画損判定など高度な情報処理も求められるようになってきました。
現状のPLCではカバーできない範囲です。
そんな変化からRaspberry Piを使ったPLCも出てきました。
以下の写真がRaspberry Pi / PLC です。
Raspberry Pi / PLC に電源を投入してみました。
このRaspberry Pi / PLC にはUSBポートが2つ、ディスプレイ用端子としてミニHDMI端子が付いています。
以下の写真は、Raspberry Pi / PLC のディスプレイ表示画面です。
PLCではなくRaspberry Pi ですね。
USBポートにキーボードとマウスを取付けると、普通のコンピュータとして利用することが出来ます。
また、ここにオープンソースでPLC用ラダープログラムを作成する Codesys の実行環境 (RTE, Run Time Environment)を実装します。
そうすると、Codesysで作成したラダープログラムを動かすことが出来ます。
RTEというのは、プログラム言語 JAVA の実行環境 (JRE, Java Runtime Environment)と同じ位置にあります。
ラダーブログラムに対する考え方もJAVAと同じです。
ラダープログラムはCodesysで一度だけ書けばいい。
メーカー毎にPLCは違っても、各PLC用のRTEが実装されていれば、Codesysのラダープログラムはどこでも動く。
そんな開発思想になっています。
おわりに
この画面を見て、冒頭の1990年の工作機械見本市の話を思い出しました。
30年の時を経て、やっとテクノロジーが追いついてきた。
そんな感じです。
まだ、現役で仕事をしておりますが、すでに私は50を過ぎております。
0代(と言っても大学4年生でしたが…)の頃に忘れてきたものに取組めることはラッキーだったと思っています。
何か気になる部分がございましたら、お気軽にお問合せください。
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