水素エンジン車を観てきました。(Super耐久第5戦 鈴鹿サーキット)

水素エンジン車のレースを観戦してきました

Super耐久 第5戦 鈴鹿サーキットを観戦してきました。
事前情報で、水素エンジン車が出場する情報が耳に入り、観戦を計画しました。

水素エンジン車とは

ガソリン燃料の代わりに圧縮水素ガスで従来のエンジンを動かし駆動力を得る車です。
燃料電池車(FCV)は、水素がイオン化するときに生じる電子を蓄電し、蓄電した電気を駆動力とする車です。

同じ水素ガスを使っていますが、駆動力に化学的なエネルギーを利用するか、物理的なエネルギーを利用するかの違いになります。
素人でも判る違いは、走行時にエンジン音がする、しない。かもしれません。

Super耐久とは

Super耐久は1991年より市販量産車をベースとした日本発祥、日本最大級の参加型レースです。

詳細についてはSuper耐久(S耐)の理念として掲載されています。
こちらのページをご覧ください。

レースはチームスポーツとして開催されているので、スポーツマンシップにのっとりルールに従って競技が行われます。
レース車両の排気量などによりカテゴリーが分けられていますが、すべてのカテゴリーが入り乱れてサーキットコースを周回していきます。
そこでの追い越しや抜き返しには、スポーツマンとしてのドライバーテクニックが求められます。

F1とは異なりますが、市販車両をベースにした車両で見られるレース展開にはドキドキさせられます。

レース中の水素エンジン車

チーム、ROOKIE RACING。32号車(名称 ORC ROOKIE Corolla H2 concept)のフリー走行時の様子です。
ガソリン車と変わらない走りを見せていました。

給水素中の水素エンジン車

通常のレース車両は各チームのピットで規定量のガソリンを給油します。
そのため、給油時にタイヤ交換やドライバー交代なども行い、レース車両のメンテナンス時間を少なくする努力をしています。

水素エンジン車の場合、水素ステーションでの給水素が必要になるため給水素場は別に設けられています。
タイヤ交換やドライバー交代は、他のチームと同じようにビットで行います。

写真は給水素中の水素エンジン車です。
給水素の時はビットの手前で右折し、給水素場までレース車両を移動させます。
第5戦の鈴鹿から、車利用の両側より給水素を行っています。
車両の両側に停車しているのが、可動式水素ステーションです。

可動式水素ステーションの前後(写真の両側)に白いシートが欠けられた荷台があります。
これが水素タンクです。

今回はオーストラリアの褐炭から生成した水素と福島県浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造されたグリーン水素を使っています。

給水素時間は約2分。
給水素は20~30分に1度の頻度で行われていました。

給水素が完了すると、ビットレーンからレースに戻ります。

レースの様子

写真は鈴鹿サーキット東コースのスプーンカーブです。
観戦していると、水素エンジン車(32号車)はカーブの出口で抜かれることが多いように見えました。

アクセルを踏み込んでも、なかなかエンジンの立上りが悪いのかもしれません。

一方、最終コーナーを抜けてから第一コーナーまでの直線区間は早かったです。
普通にガソリンエンジン車を抜いてました。

馬力はガソリン車と比べて劣っていないように見えました。

Super耐久 第5戦 鈴鹿サーキットは5時間の耐久レースです。
11時30分からレースが始まり、16時30分まで走り続けるレースです。

当日は快晴で気温は30℃を超えていました。
路面温度も高いため、タイヤの消耗も早く、バーストさせるチームもありました。

耐久時間、5時間の間、エンジンはほぼフル回転なので、開発する側から見ても過酷な条件でのレースだと思います。
ラップタイムから予測すると平均時速150kmなので、ドライバーにとっても過酷なレースです。

レース終了後の車検

今回、リタイアしたチームが1つもありませんでした。
1台だけ完走できなかったのですが、レース中の接触事故や運転ミスなどによる自損事故がなく、46台中45台が完走するレースでした。

レース直後、チームは車を触ることが出来ません。
ここからオフィシャルによる車検が始まります。

観客もコース上に入りレース車両を近くで見ることはできますが、触れません。
オフィシャル以外が触った場合、そのチームは車両規程違反となり失格になります。

ルールは厳しいので、観客にもルール順守が求められます。

レース終了後の32号車(水素エンジン車)

レース終了後、車検中の32号車です。
加飾が施されていますが、市販のカローラです。

まだ三戦目で、開発途中ということで、多数の計測機器が搭載されているそうです。
最後はCドライバー、トヨタ自動車の豊田社長(登録ドライバー名 MORIZO)が運転していました。

水素エンジンの排気音(エンジン音)

ネットニュースやテレビなどのニュースでは、水素エンジン車両によるトヨタ自動車の挑戦は紹介されます。
エンジニアとして非常に興味があるのは、水素エンジンのエンジン音です。

水素を燃焼させて走るエンジン。どんな排気温なのか気になります。
最終コーナーから第一コーナ―に向かうメインストレートでのエンジン音を動画として収音してきました。
楽しんでみてください。

さいごに

最近、国際線を飛ぶ飛行機は電気ではなく、CO2を排出しない燃料への置換が進む。

そんな記事が出てきました。
よく言われる電動飛行機は小型ビジネスジェットなどでは主流になると考えられています。

一方、中長距離用の旅客ジェット機については電気になるとは考えられておらず、CO2を輩出しない燃料で検討されているようです。
そのような事実から、電動自動車、電動飛行機よりも水素エンジン車の方にシフトする可能性も見えてきました。

まだまだ、革命的な技術革新が起こりそうで、楽しみです。

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