前回の内容と今回のテーマ
前回は片持ち梁の例題から、机上検討とFEMシミュレーションの結果について比較してみました。
FEMシミュレーションの設定は、FUSION360のデフォルト設定にしてあります。
FEMシミュレーションの精度はメッシュサイズを小さくすると高くなると言われています。
しかし過剰に小さくすると、計算過程で生じる誤差が大きくなりシミュレーション結果の精度は悪くなります。
前回と同じ例題を使い、メッシュサイズを変えてFEMシミュレーション結果を調べてみましょう。
今回は、FUSION360でメッシュサイズの変更方法を説明します。
メッシュサイズを変更して得られた結果については、次の回で説明します。
腕試しで、取組んで頂いても構いません。
FUSION360でのメッシュ作成
FUSION360で三次元モデルを作成するDesignメニューからFEMシミュレーションのメニューに切り替えます。
メッシュの作成メニュー方法は二通りあります。※下図を参照願います。
- リボンの『解析』をクリックすると表示されるプルダウンメニューから『メッシュを作成』を選択する方法。
- モデルブラウザから『メッシュ』をクリックしてプルダウンメニューを開き、『メッシュを作成』を選択する方法。
メッシュサイズは、どちらの場合でもデフォルトで『モデルベースのサイズ』10%で作成されます。作成されたメッシュを以下に示します。
FUSION360を利用する場合、以上のような操作でメッシュを作成します。
メッシュサイズの変更方法
メッシュ作成時のプルダウンメニューに『メッシュ設定』があると思います。
メッシュサイズを変更するには、この『メッシュ設定』を選択します。
下図に示しましたが『メッシュ設定』のウィンドウが開きます。
その中で『モデルベースのサイズ』のスライドバーの値を初期値の10%から小さくするとメッシュサイズが小さくなります。
スライドバーの値は整数値しか選べません。
5.5%のような小数点を含む値は設定できません。
また、最小値は1%です。
『モデルベースのサイズ』の最小値1%で作成したメッシュになります。
3%以下になると注意喚起のメッセージが表示されます。
検討方法の指針
『モデルベースのサイズ』を1~10%で、それぞれメッシュを作成します。
- 要素数や節点数は『モデルベースのサイズ』の値に対し、どのように変化するでしょうか?
- 片持ち梁の先端たわみは、どのように変化しますか?
要素数や節点数の逆数を横軸にして、机上検討で得られた先端たわみと比較してみましょう。
また逆数にすることで要素数が多くなればなるほどゼロに近づき、グラフにまとめる時コンパクトにまとめられます。 - 片持ち梁の完全拘束における曲げ応力は、どのように変化しますか?
先端たわみと同じ様にまとめてみましょう。 - 机上検討結果に対し、FEMシミュレーション結果から得られた先端たわみや曲げ応力の誤差の割合についてグラフにまとめてみましょう。
以上のような検討を踏まえると、メッシュサイズとFEMシミュレーションの精度との関係が見えてくると思います。
精度良くFEMシミュレーションに取り組むために、必要な技術資料になります。
ぜひ、時間を設けて取り組んでみてください。
参考までに検討方法の指針 1.の結果を示します。
3%を切ると要素数や節点数が急激に増えてきます。
次回、FEMシミュレーションの精度について紹介しますが、コンピュータ資源(メモリ、ディスク容量やCPU使用率など)の利用が少ないため、短時間で計算結果が得られるものと思われます。
ご不明な点がありましたら、お問い合わせからご連絡ください。