三次元CADによる強度シミュレーション

強度シミュレーションを成功させるコツ

よく強度・剛性シミュレーションの事を、CAE(Computer Aided Engineering : コンピュータ支援による工学)と呼ばれることが多いです。
しかし、正確にはFEM(Finite Element Method : 有限要素法)になります。
CAEは、コンピュータによる工学的なシミュレーション技術技法の総称になります。

さて、FEMは三次元CADで作成された形状モデルに、以下に示される項目の数値や条件を設定し、コンピュータで計算を実行させ計算結果が得られます。
(※下図にFEMで必要な情報を図示します。)

  • 材料特性を示す値(鉄、アルミニウム、銅、ナイロン、ABSなど)
  • 負荷荷重の値や拘束方法(片持ち固定支持、両端自由支持など)
  • 計算方法(静解析、動的解析、振動解析、周波数応答解析など)

しかし設定した値や設定位置が間違っていると、計算させても正しい結果は得られません。
強度シミュレーションを成功させ、正確な結果を得るためのチョットしたコツを3~4回に分けて紹介します。

 

机上検討と強度シミュレーションの結果比較

最初に取り組んで欲しいことです。
以下に示される簡単な例題を片持ち梁の公式と、強度シミュレーション、それぞれで解いてみてください。

【例題1】
一辺が30 mmの正方形断面をもつ長さ1mの角棒を片持ち梁としてタワミ計算をしてみてください。
片側を完全拘束とし、反対側の先端に1.0 kNの集中荷重が負荷されます。
なお、重力の影響は無視し、自重(死荷重)によるたわみは考えません。

以下にFUSION 360で作成したモデルと、強度検討条件を図示した画像を示します。

机上検討の結果

以下の図に片持ち梁の先端たわみと拘束部分に生じる曲げ応力を計算した計算式と結果を示します。

材質はSUS304(ステンレス)とし、縦弾性係数(ヤング率)の値は 195.0 GPa になります。
画像の中で (Mpa)と表記されていますが、これの表記は誤りです。(MPa)に訂正します。

公式に当てはめて計算すると、集中荷重が負荷されている先端部分のたわみ(ω)は、 (たわみ) = 25.324 (mm) になります。
また、完全拘束している部分に生じる曲げ応力は、 (曲げ応力) = 222.22 (MPa)になります。

以下のような計算結果になりましたか ?
意味が判らない部分や専門用語はございませんか ?

机上で計算したことと、同じ計算内容をFEMシミュレーションでも行います。

FEMシミュレーション結果

FUSION360のAnalysis機能を利用して計算した結果を以下に示します。
解析モデルのメッシュサイズは10%で、デフォルト設定を利用しています。
それ以外は机上検討時に利用した値を利用して計算しています。

机上検討とFEMシミュレーションの結果比較

この場合、机上検討結果が正解になります。
FEM解析で得られた結果は、形状モデルを有限要素で近似するため限りなく正解に近づきますが、机上検討の結果と一致することはありません。

この場合も、机上検討結果が25.32 (mm)に対し、FEM解析結果は24.97 (mm)となります。誤差(FEM解析結果 – 机上検討)は -0.35 (mm)で机上検討に対し-1.382 (%)になります。
このFEM解析結果の精度は高いと思います。

もう一つの結果、曲げ応力についても比較してみましょう。
机上検討結果が 222.2 (MPa)と計算されることに対し、FEM解析結果は200.8 (MPa)となります。
机上検討結果に対し -21.4 (MPa)の誤差が生じ、割合で示すと -9.630 (%)となります。

机上検討や実際の試験結果に対し、FEM解析の結果が10(%)程度の誤差に収まっていれば、経験上、概ね正解と見なします。
FEM解析の結果が、以下の図に示された値と一致しないかもしれませんが、ほぼ一致するような値が得られると思います。

【参考】
FEMシミュレーションの結果を見ると、複数の応力表示が選択できると思います。
二次元要素(平面要素)を利用する場合には、作用する方向を持つ最大/最小主応力(Major/Minor Principal Stress)を選択します。
溶接部分はせん断力で評価するため、せん断応力(Shear Stress)などで評価します。

今回のような三次元要素(立体要素)の場合、作用する方向を持たない相対応力(Von Mises Stress / フォン・ミーゼス応力)を選択し評価に使います。

まとめ / FEMシミュレーションを成功させるコツ (その1)

教科書に紹介されている簡単な例題を、机上検討で復習しFEMシミュレーションに当てはめてみましょう。
たわみの値は概ね一致するはずです。
曲げ応力については誤差が生じますが、割合でみると概ね10%以内になると思います。

また数値は、机上検討で得られた数値より小さな値になります。
大きい値になった場合、材料特性値の値、負荷した荷重の値を確認してみてください。

簡単なことですが、取り組んでみると、うまく値が合わないこともあります。
まず、簡単な例題からFEMシミュレーションを成功させてみてください。

FEMシミュレーションのサポートについて

当社でFEMシミュレーションを行う場合、LISA (https://isafea.com)を使っています。
1300節点以内で作成できるFEM解析モデル限定で、試用版がダウンロードできます。

LISAの利用方法や導入支援、利用説明などについては、3時間、3万円(税別)と出張経費で承ります。

お問合せよりご連絡下さい。

PAGE TOP