独立を考える開発エンジニアへのアドバイス

安易な独立は、やめた方がいい

2021年、技術士(機械)の資格を所持して、ちょうど10年になります。

2013年に個人事業主から始まり、2014年に資本金50万円で法人化。2019年に資本金を300万円に増資し、現在に至ります。
独立を考える前に、自分の技術を活かしてお金を稼ぐために必要な道具を書き出してください。自分の場合は三次元CADと強度シミュレーションソフトでした。
次に書き出した道具の調達費用はどれぐらいになりますか?
また手持ち資金で道具を調達した上で、お客様に納品して現金が振り込まれるまでの3〜6ヶ月の間、無収入で過ごせますか?
その間の生活資金は確保出来ていますか?

必要な費用が大きいことに気がつくと思います。
まず独立を考える前に、必要な道具のことを考えてみてください。
技術者は高額な道具が必要な事が多いので、安易な独立は勧めません。

技術コンサルタントになる?!

都市部で企業が多いと、ビジネスとして成立するかもしれません。
独立する前に、自分の会社を自分の技術でコンサルティングしてみてはいかがでしょうか?
事前準備になりますし、今の状況が好転するかもしれません。

正直なところ、企業の技術顧問になるには難しいです。
大学や専門学校の非常勤講師の道もありますが、報酬は授業時間のみ。
授業の準備やテストの採点、評価の時間は報酬には含まれません。
技術コンサルタントで稼げる技術者は少ないです。自分もコンサルタントでは稼げていません。

自分の独立について

自分の場合、個人事業として独立しました。
最初の仕事は、受注してから8ヶ月、売上はありませんでした。
この8ヶ月間、仕様変更の繰返しで6回の設計変更がありました。
手持ち資金(普通預金)も通帳残高が数万円まで食い潰してしまいました。
資金ショートしそうなとき、勤めていた会社の上司から資料作成の依頼があり、首の皮一枚をつなげる事ができました。

その後、経営を透明化し社会への責任を明確にするため法人化しました。
個人事業主では、売上自体が自分の報酬であり、事業経費と報酬が曖昧になってしまいました。
また自分の気持ち一つで、事業を簡単のたたむ事ができます。
事業の継続性や社会的責任は問われません。

その後、その上司から仕事をいただきながら3年間、事業を継続していきました。
一番、厳しかったのは4年目です。
前の勤務先からの仕事が切れました。
その一方で韓国企業からの仕事が入りました。
ただし個人で請けた仕事なので、法人の資金がショートしそうなとき、韓国企業で稼いだ個人の売上金を法人に貸していました。
それだけでは足りなかったので、役員報酬を法人に貸していました。
その結果、法人から見ると5年目の終わりには、借入金で総額250万円になりました。

5年目に大きな売上があり、借入金を返済すると同時に資本金を増資しました。
このことから売上がある事が前提ですが、独立資金として300万円はないと5年は続かないと思いました。
法人設立時の資本金については緩和され、設立しやすくなっていますが、継続するためには、資本金の額は大きい方が安定し長く続きます。

おわりに

独立は転職とは異なります。
慎重にご検討ください。

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