1 はじめに
準備、できてますか?
3DAモデル(3D単独図)です。
3D単独図について、知ってますか?
先日、2004年頃から、ご指導を頂いている静岡文化芸術大学の望月達也名誉教授から、3D単独図の動向について教えていただきました。
今日は、その時に教えていただいたことを紹介します。
2 話のキッカケは
望月先生の著書、『3DCAD時代における幾何公差の表し方と測定』という2024年11月に刊行された書籍でした。
3Dモデル形状に対し、寸法公差以外に幾何公差の指定方法や意味、あるいは測定データと公差との関係を分かりやすく丁寧に説明された書籍になります。
この中で、1章を割いて、3D単独図について書かれておりました。
実は、20年ほど前、2007年頃に望月先生の指導を賜りながら、3D単独図とその利用方法について検討しておりました。
しかし、三次元CADの導入と使える人材育成の方に注目が集まり、三次元データの図面利用については注目が集まりませんでした。
また三次元CADのモデルを使い2D製図を作図して流通させることが始まったばかりでした。
二次元CADで作成した図面は、標準的な鋼材サイズをベースにした図面となるため判りやすいのですが、
三次元モデルを利用した製図になると、部品の投影図がブロックから削り出したような形状が多くなり、形状を認識しづらい状況が発生し始めました。
三次元CAD検定の課題図面を見ておりますと、一見ではわからず、他面の投影図を比較しながら三次元形状を認識しなければならず、現場での状況が追体験できます。
そのような状況が認識されるようになるには、10年以上の歳月が必要だったという事です。
私と望月先生は、そんな状況も見据えて、三次元CADが広がりだした2005年頃から、そんな取組をしておりました。
3 3DAモデル(3D単独図)の事例
イメージが無いと、何を話しているのか、これから三次元CADに何が起こるのか、判らないと思います。
以下は、2007年にCATIA V5を使って、作成した3D単独図をPDFファイルにして保存したものになります。
ここでは、画像として表示しています。
以下は正面図です。
モデル形状に直接、設計情報(Annotation)を付与しています。
投影面を選択すると、それ以外の投影面に付与された設計情報は表示されません。
次の図は、側面図です。
正面図と同様、側面図に投影した設計情報しか表示されません。
ファイルを開いた状態は、すべての設計情報が表示されるので、よくわからない状況になります。
これは2007年時点での話。
現在の状況は判りませんが、改善されているものと思います。
4.作図の方法は
利用しているCADによって、設計情報(Annotation)の付与の仕方は変わります。
ここでは、詳しく説明しません。
また、対応している三次元CADも増えているようです。
取組を始めた頃は、CATIA V5だけでしたが、最近ではSolidWorksも対応していると聴きました。
当時の方法だと、投影するビューを作成し、Annotation機能を使って、モデルに直接寸法や公差情報を記入していきました。
作成したビューはモデルデータとして保存されるので、PDFに出力した際、作成したビュー毎に設計情報も保存されるわけです。
これで完結だったので、モデルに記入した設計情報を製図(2D図)にして1枚の紙に出力する概念はありませんでした。
ですから、当時は一般的ではありませんでしたが、タブレット端末などを現場に設置し、それで3D単独図を見てもらう方向で考えていました。
現在は、もう少しスマートに考えられているようにです。
5 最近の動向については
興味を持たれた方、最近の動向を知る方法をお知らせします。
自動車工業会(JAMA)のホームページの中にある以下のサイトで紹介されています。
デジタルエンジニアリングに関する標準化活動 | JAMA – 一般社団法人日本自動車工業会
( https://www.jama.or.jp/operation/it/dg_egr/3d_drawing.html )
モデル作成時のガイドラインやお手本となるデータについて、このサイトからダウンロードできます。
6 AlibreDesignの状況は?
スリー・ディー・エス様に情報は提供しました。
対応状況については、確認しております。
製図をすることは変わらりません。
変わるのは、これまではモデルを投影した投影図に対して寸法付与を行っていました。
これからは、直接モデルに直接寸法などを付与し、その投影図を2D図面(従来の製図図面)のように配置して作図する。
という事かもしれません。
これは、かなり大きな変化です。
そういう意味で、準備はできてますか?
というタイトルが出てきました。