1 前回の続き
レイアウト設計の前に仕様開発に1Dシミュレーションを使って装置の数理モデルを作成することを説明しました。
以下の画像は運動方程式の数理モデルになります。
最近では、運動方程式の質量項のみを言うようですが、ここでは一般系のモデルで作成しています。
物理学や振動学の教科書では、減衰定数や固有振動数の値の変化出出力波形が変わるので、いろいろな説明が加えられています。
ここでは、教科書ではないので、値の変化と物理的な意味の説明は省略します。
2 1Dシミュレーションの事例
この1Dシミュレーションが適用された事例があります。
以下はフランス、パリ市商工会議所が公開していた事例になります。
2008年~2013年の5年にわたり、EUにおける電力グリッドの開発プロジェクトに関するものです。
PEGASEプロジェクトと呼ばれていました。
この電力グリッドの制御システムは!Dシミュレーションで開発されています。
使用していたツールはScilab/XCOSで、XCOSで利用したブロックはMODELICAで作成されたものだったそうです。
現在、このプロジェクトで開発された電力グリッドは民営化され現在に至っています。
15年も前に、EUは、このような手法で電力グリッドと制御システムを開発を進めていました。
ちょうどリーマンショックで流動在庫の処理に6カ月以上も掛けていた日本では、製品開発の分野で、そのような余裕はなかったように思います。
現在では、MODELICAの開発が進み、Scilab/XCOSに代わり、OpenMODELICAの利用が進んでいるようです。
元々、Scilab/XCOSはMATLAB/Simulinkが商用化される前に、開発者から一部のコードを利用させてもらいOPENソースとして開発されてきたようです。
3 まとめ
数理モデルを作成し、数値シミュレーションを通して根拠を得ようとする場合、1Dシミュレーションの活用は大事なことだと思います。
この数理モデルをプログラムでコード化して打ち込み、実行確認をするのは大変です。
気を付けていないとアルゴリズム開発が開発目的となってしまい、「製品を完成させる。」という目的が消失してしまいます。
数理モデルを解くアルゴリズム開発に労力をかけないために、ブロックをラインでつなぎ動く数理モデルを作成できることは開発の簡素化には重要なことだと思います。
以下のグラフはEXCELで創りましたが、XCOSやSilmulinkでも、このようなグラフは作成できます。
SimulinkとXCOSの違いがあります。
Simulinkはデータラインと制御ラインに区別はありません。
厳密性を求めなければ、この方法は簡単だと思います。
XCOSはデータラインと制御ラインが区別されています。
これは、作成された数理モデルの厳密性を担保するものですが、数理モデルに使いたいブロックが見つからない場合もあります。
このような違いがあることをご理解ください。
4 MODELICA
現在、OpenMODELICAをマニュアルを見ながら動かしています。
SimulinkもXCOSも直観的に数理モデルが作れたのて須賀、Modelicaは、直観的に使えずマニュアルを読んでいます。
ScilabもVisualStudioにアドインできるモジュールが開発されオープン化されています。
公式サイトでは告知されていないかもしれません。
Scilab/XCOSもModelicaにシフトし始めているのかもしれません。