【技術セミナー(再掲)】モデルベース開発(MB D)とはなにか?

1 あらためて

2025年1月に開催予定だったモデルベース開発に関するセミナーが中止になってしまいました。
そのままセミナー用資料が無駄になるのも癪に障るので、不定期で一部を紹介します。

改めて質問します。
モデルベース開発とは、どうすることだと思いますか?

重要な部分です。
言葉で理解できますか?
あるいは、言葉で説明できますか?

Youtube動画を見てください。とか、
生成AIに質問すればわかります。

この回答は、

私は何も考えていないし、理解もしていません。

に等しいです。
特に、生成AIはネット上に氾濫している情報を要約して提供しているだけです。
それは、この質問に対する、あなた自身の考え方や意思ではない。

まとめると、下図に示されていることになります。
AIクローラ対策で、要点だけを利用されないように、画像にしてあります。

2 動く仕様書の事例

一時的ですが、小型EVの開発に協力したことがあります。

この時、設計を進めるために検討したことは駆動用モーターの出力とバッテリーの容量でした。
モーターベンチで資料の走行テストで使用する走行スケジュールを使い、駆動モーターに求められる出力などを検討しました。

下図はSimulink(R)を使った時の概念図になります。

最初は5kWのモーターを使用すると聴いていました。
モデルベースで駆動モーターに要求される出力を予測すると5kWではギリギリだということが判ってきました。

WTLCの走行スケジュールですと、これまで日本では使われることがなかったClass1が該当してきます。
走行スケジュールで走行したとき、駆動モーターに要求される出力は以下の通りになります。

モーター軸出力 5kWの範囲をすべて使っており、モーターの容量に余裕がありません。
ここで示している結果は、計算結果です。

実際の車両は、予想していない要因で、さらに出力が大きくなる可能性もあります。
モーターの出力を大きくした方が良いと思われました。

後々、教えてもらいましたが、実は、実際に製作した試作車両車が5kWでは余裕が無くて、12kWを変更して検討を始めていたそうです。

作成したモデルで予測した通りの結果だった。

最初からモデルベースで車両開発を進めていれば、試作車両で量産車に近い結果を得られたかもしれません。

3 今回のまとめ

詳細については、また次回に紹介します。
ただ、この記事の内容からでも、モデルベース開発の優位性は理解できると思います。

しかし、モデルベースで作成するモデルは数理モデルとも言われています。

これは、その開発製品②生じている物理現象を把握し、数学的な基礎方程式を組み立てて解くことになります。
言葉で物理現象の説明しない限り、生成AIが、その物理現象を説明できるわけではない。

大学院での研究活動を通じ、理論的なモデル構築の訓練していないと、難しい部分になります。
注目を集めているようですが、コア技術となる数理モデルを構築できる人材を確保することが難しい。

日本では、いろいろな現場で「誰でもできるように…。」と、個人の才能を評価せず、技術やノウハウの標準化に重きが置かれます。

しかし、経験や訓練を積まなければ、真似してできる開発手法ではありません。
センスや才能も必要になります。

近日中に、この手法の指導について、韓国企業と打合せをする予定です。

自分の中では、センスや才能が評価されない、現在の日本企業では難しい。
生成AIが注目される理由は、知識の標準化が図れるツールであり、これまでの日本の企業文化にマッチしているからだと考えています。

そのため日本の産業発展に、この手法を活かせないことは残念です。
しかし使いこなせる人材は、韓国の方が揃っているので仕方ないと思います。

日本のレベルが向上する見通しが無いので、海外に移転し成長させる道を選びました。

 

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