1 NASTRAN Ver 65 かと思いました(笑)
NASTRAN V65なんて、知らないと人の方が多いと思います。
なにせ、1992年頃のバージョンですから。
この頃のNASTRANには、モデルの大きさに制限があり自由度で約6万自由度です。
そのため大規模モデルをFEM解析する場合、スーパーエレメント法が利用されていました。
今は利用されていることを聴くことはほとんどありません。
1994年のV67以降からモデルの大きさに制限がなくなりました。
また、NASTRANはソースコードが公開されているSAP(Structure Analysis Program)をベースに作られたものです。
ですから、NASTRANを名乗るソフトは複数ありますし、ソルバー部分が同じソフトも多いのです。
またNASTRANはソルバーなので、モデルを作成するプリ・ソフト。
解析結果を表示するポスト・ソフトが必要になります。
当時、利用していたソフトはPATRANでした。
なので、FEM解析を個人でする場合、ソルバーと、プリ・ポスト処理のソフトについて考える必要があります。
2 いろいろと探しました
独立した当初、オープンソースで使えそうなソフトを探しました。
フィンランドで開発され公開されていたElmerを使っていました。
日本では、北海道大学と青山学院大学(相模原校)で使っていました。
マルチフィジックス(連成)用のFEMでしたので、基礎方程式が偏微分方程式で記述できる物理現象には使えるソフトでした。
たた、プリ・ポスト処理の機能が弱い。
なので、Elmerを使いつつも、ソルバーが付いて、プリ・ポスト機能も充実しているソフトを探しました。
1~2年ぐらい探したかな。
そこで見つけたのが、このLISAになります。
下の画像は、LESAを立ち上げたときの状態です。
CANADAで開発されたソフトのようで、メニューや、操作ガイドはすべて英語です。
自分が学生の頃には、新しい技術は海外から入ってくる状態でしたので、英語が得意、不得意にかかわらず、英語の資料が当たり前でした。
ですから、英語のメニューや操作ガイドは使えない理由にはなりません。
評価機能は接点の自由度は訳1300ぐらいですので、期間の制限なく利用できます。
いろいろと機能について確かめることができ、Elmerの後継のFEM解析ソフトとして購入することにしました。
法人価格ですが、CANADAドルで、299.99ドルです。
日本円に換算すると、3~4万円で買取りです。
1件の契約で1ライセンスの利用が可能です。
個人での利用価格も設定されており99.99ドル(カナダドル)です。
個人で購入し利用する場合には、そちらの契約を選択してくだ体。
ただし、1件の契約で1ライセンスの利用になります。
3 LISAができる解析内容
LISAは線形のFEM解析ソフトです。
非線形のシミュレーションはできません。
材料非線形や大変形問題は対応していません。
解析内容は、左側にまとめられているプロパティ・ツリーの一番上にある≪Analysis≫にマウスのカーソルを合わせ、右ボタンをクリックします。
すると、コンテキストメニューが表示されます。
“Edit”しか表示されませんが、クリックし解析内容を選択するためのウィンドウを開きます。
表示されるウインドウは、以下の画像になります。
“General”で、モデルについて3つ解析方法が選べます。
“2D”、”軸対象(Axisymmetric)”、”3D”から、モデルの形態を選びます。
以下は3Dモデルの場合に選択できる解析手法が選択できます。
- Static 3D / 静解析 3D
- Modal Vibration 3D Solid and Truss / 固有値解析 3D ソリッド要素とトラス要素
- Modal Vibration 3D Shell and Beam / 固有値解析 3D シェル要素とビーム要素
- Modal Response 3D Solid and Truss / 周波数応答解析 3D ソリッド要素とトラス要素
- Modal Response 3D Beam / 周波数応答解析 3D ビーム要素
- Dynamic Response 3D / 動的応答解析 3D
- Buckling 3D Solid and Truss / 座屈解析(オイラー座屈) 3D ソリッド要素とトラス要素
- Themal Steady State / 定常熱解析
- Thermal Transient / 過渡応答熱解析
- Fluid Potential Flow 3D / 流れ場解析 3D
- DC Current Flow / 直亮電流解析
- Electrostatic 3D / 電場解析 3D
- Acoustic Cavity Modes 3D / 音響解析 3D
自分は構造解析が専門なので、後半の電気関係のシミュレーションや音響解析は、正直なところよくわかりません。
この中から解析する内容を選択します。
選択すると、シミュレーションに必要な設定値を選択していきます。
4 三次元CADのデータを取組む方法
解析手法を選択したら、次は形状モデルの取り込みになります。
一次元要素や二次元要素を使ってモデルを作成する場合、この過程は省略します。
三次元CADで作成した部品のFEMシミュレーションを行う場合には、ここから三次元モデルのインポートを行います。
インポートできるデータはSTEPかIGESになります。
インポートしたCADデータの形状は表示されません。
要素分割できると、FEMモデルが表示されます。
5 LISAのサイトについて
LISAの販売サイトを紹介しておきます。
LISA-Free/Affordable Finite Element Analysis Software
(https://lisafea.com/)
になります。
利用事例など、いろいろと使い方が紹介されています。
AlibreDesignで作成したモデルに対し、LISAを使ってFEM解析を行います。
FEM解析結果からグラフを作成し、形状をどのように変更すればよいか検討します。
その結果を三次元CADで形状に反映させていきます。
三次元CADにFEM解析用のソルバーが組込まれた製品も使ったことがありますが、詳細の検討がやりにくく、設計の良し悪しが評価しづらかったです。
AlibreDesignの維持費とLISAの購入価格を組合わせてもそんなに経費が掛かりません。
気になること部分があれば、ご相談ください。