1 はじめに
モデルベース開発のセミナーの資料からの抜粋です。
仕様設計の時に、MATLAB/SIMULINKのような数学モデルによる検討やFEMなどによるシミュレーションは外せません。
そのため、FEMの基礎も資料として準備していました。
説明することはありませんでしたが…。
その資料の一部を利用します。
2 一次元要素の種類
2次元要素、三次元要素、それぞれ、モデル化できない要素があります。
一次元要素には、そのような部分がありません。
梁の計算のような検討内容でしたら、迷うことなく一次元要素を選択するでしょう。
ただ、一次元要素にはモデルの特性に応じて、要素が準備されています。
それらを説明します。
1). ロッド(ROD)要素
軸力(軸方向の引張・圧縮力)とねじり力がモデル化されています。
曲げは想定されていません。
どのような使い方をするかというと、トラス構造に適用します。
最近は、トラス構造を探し出す方が難しいですが、世界遺産の富岡製糸場の工場内から見える構造がトラス構造になっています。
絵に描いたとおり、ピン一本で、屋根を支える構造が固定されています。
このような結合の場合、曲げモーメントは連結している部材や壁面に伝わりませんので、計算する必要がありません。
部材のねじり力に変わってしまうため、ねじり力を計算しています。
機械力学では鉄塔の構造を使ってトラス構造を説明していますが、実際はガセットプレートを使って締結しています。
発生した曲げモーメントはガセットプレートを通じて連結されている部材に伝わるため、次に説明するBAR要素の方が適している場合もあります。
また、部品に作用する外力を計算する場合、機械力学的な考察は必要になります。
部品に負荷する荷重を算出するために、トラス構造などを利用して求めることもあります。
国内では近似的な手法を使っていますが、アメリカで教えられている方法は三次元的な機械力学なので、彼らと仕事をした時、非常に苦労しました。
2) バー(BAR)要素
BAR要素は曲げモーメントなども計算します。
こちらは断面が一様であることが前提条件です。
現実には、フレーム構造などが当てはまります。
よく用いられる要素です。
3) ビーム(BEAM)要素
こちらは、BAR要素と異なり、断面が変化するときに使う要素です。
ただし、断面の変化は連続的であり、極端に変化することは想定されていません。
モノコック・フレームなどで断面形状が変化する時に利用されます。
使いたくないときは、ある任意の区間の断面特性の平均値をもとめ、BAR要素に割り当ててモデルを作成することもあります。
解析結果で得られる計算値を使い、検討するような場合に行うことがあります。
3.その他
RIGID要素というのもあります。
この要素は、剛体結合のための要素です。
たまに、モデル化の一手法として使うこともあります。
剛体結合要素なので、弾性変形はしません。
三次元CADに組み込まれているFEM用のソルバーは三次元要素を中心に考えられています。
しかし、材料力学の教科書にある梁のたわみ公式のような計算を行いたい場合、三次元CADでモデルを作成しFEM解析を行うには時間が掛かります。
一次元要素を使い、解いた方が早い場合もあります。
三次元CADの形状データを利用しつつも、CAE/FEMだけで検討することもしてみませんか?