【CAE/FEM】メッシュサイズ以外の注意点(二次元要素によるモデル化)

1 三次元要素の弱点は

三次元CADにFEM解析は取り込まれてしまい、三次元データをベースにした解析が普通になってしまいました。
その結果、材料力学とは別に計算力学がありますが、その辺の教育がなくなり有限要素でできること、できないことが教えられなくなりました。

この節のタイトル、『三次元要素の弱点』については分かりますか?

せん断ひずみをモデル化していないということです。
このことは、前にも記事として書きました。

では三次元CADでは使わないであろう二次元要素についてはどうでしょうか?
確認したことはありませんが、SolidWorksには薄板を二次元要素でシミュレーションを行う機能があるようです。

対象は高圧ガスタンクのような製品になります。
今なら70MPaの水素ガスタンクなどには当てはまるのかもしれません。

2 二次元要素の弱点は

高圧ガスタンクなどが対象となる薄肉形状のシミュレーション。
仕様する有限要素は二次元になります。

要素形状から、モデル化できない要素があります。
法線方向(面直方向)の回転(せん断変形)です。

板厚は数値で設定されるため、要素形状に物理的な厚さはありません。
そのため、計算モデルでは、法線方向の回転(せん断)は正確に計算されないのです。

 

3 二次元要素が不向きな形状について想像できますか?

薄肉のパイプは、二次元要素が苦手な形状になります。

とくに曲げ変形は、個々の要素に対し法線軸廻りの回転が発生しますので、正確な計算はできません。
このような場合、二次元要素の利用はあきらめて、一次元要素に断面二次モーメントなどを設定して計算します。

その方が正確な結果が得られます。

4 FEM解析で正確に結果を得たいのなら

当方にご相談ください。』というのが、一番、簡単なのですが、そういうわけにもいきません。

うまく使えないから、外部の専門家に頼ります。

そんなことを言えば、
現在、使用している三次元CADシステムは使えないのか?

ということになりますし、

毎年、支払っている年間ライセンス料の意味はなんなの?
このCADシステムを所有することに意味があるの?

との声にもなってしまいます。

現状では、外部の専門家に頼ることは、社内の開発環境の不備・不足を打ち上げるようなもので、言い出しにくいのです。

派遣やプロジェクト参加型の非正規社員として契約し、一時的にでも社内設備を使って結果を出せるのなら
追加投資は人件費だけになるので、投資している開発環境を有効に活用できている体裁ができるわけです。

新しい知見を手に入れたいのだけど、機密管理の観点や開発環境への投資、人材育成の問題などを打ち上げることとなり、
外部に頼るのではなく、社内に取り込んで社内環境の充実化を図りたい。

それに、何かを変えようとするとき、いろいろと調整が必要となりますが、その手間は取りたくない。
法人を創業した当時は、まだ外部に仕事が流れていましたけど、コロナ禍以降は、そんな感じです。

この節のタイトルに戻りますが、正確な結果が得られるようになるための提案としては、次のようなことになります。
他社で同じような悩みを抱えている人たちが集まり、お互いに情報交換できる場があると良いのかもしれません。

MATLABを利用したモデルベース開発手法を自動車工業会で確立したときは、JMAABという団体での情報交換会がありました。
そんな団体が必要なのかもしれません。

5 それでも困ったなら

CAE/FEMシミュレーションで困っている会社や担当者は多いようです。

本当に困ったのなら、造形データ(STLデータ)でも良いので、持ってきてください。
現在、当方に三次元プリンターが無いので、1週間ほど時間をいただきます。

三次元プリンターを使い部品形状を造形します。
その造形部品からFEM解析用に三次元CADでモデルを作成し、解析して報告書を作成いたします。

CADデータは社外に出していませんし、造形確認とでも伝えておけばいいと思います。
その確認作業のなかに、シミュレーションが含まれていた。

そうのようなことで対処もいたします。
本当に困ったら、ご相談ください。

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