大部屋制とモデルベース開発

健康上の理由から自動車部品メーカーを辞めることにした2007年の年末に聴いた話になります。

トヨタ自動車は車両開発は大部屋制にしていることを聴きました。
今でも品質管理のマネージメント手法として紹介されています。

それは、開発中の車両の開発プロジェクトチームに大部屋を割り当て、そこに設計・実験・生産技術(組立生技を含む)・品質・製造部門などから担当する社員が集まって開発をしているということでした。
しかもハイエンドの三次元CADなので検討するデータは同じですが、招集された部門に応じたモジュール構成になっていたそうです。
同じデータを見ながら、それぞれの仕事ができていたと聴きました。

この話を聴いて、モデルベースで車両開発をしている。と、直観的に感じました。
その頃のモデルベース開発と言えば、車載ソフト開発の手法の一つとして考えられており、その手法を使って車両開発まで発想していた人は少なかったと思います。

車づくりに関するすべての工程から、知識や経験、スキルを持った人材を選抜し一つの部屋に集め、仮想空間にあるデータの作りこみを行っていた。
現実空間での製作では、極力、仮想空間で作りこんだモデルの検証作業のみになるようにしていたようです。

本来は、チームで同じデータを見ながら、いろいろと検討しなければモデルベース開発はできない。
実際、当時の社内スキルでは三次元CADが使える人材は設計しかおらず、その他の部署はEXCELの表計算機能を使い、工程計画や作業工数などを見積もって生産計画を企画していました。

どうすればよいか考えた末、自分は組立とシミュレーションの技術はあったので、設計や電気、制御などの分野を覚えていった。
その結果、モデルベース開発という手法を一人で使えるようになってしまいました。
それは仮想空間での作りこみが現実世界と変わらない程度のレベルまでできるようになったということです。

その結果、Doctor-Xではないですが、『設計、失敗しないので。』と、宣伝文句にしていたくらいでした。
実際に失敗はほとんどなかったです。

その頃から15年以上が経過した。

最近、モデルベース開発が脚光を浴びているようです。
言い方を変えれば、トヨタ自動車は15年、進んでいたという事なのでしょう。

15年以上も経過すれば、自分も歳をとるもので、60歳に近い状態です。(笑)

自分も早すぎました。

 

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